Our Approach For Wounds

創傷管理

慢性創傷とは

「慢性創傷」とは6週以上続く、あるいは繰り返す皮膚損傷を指します。

慢性創傷を抱えることで、保有者のQOL(Quality Of Life:生活の質)は損なわれ、また医療費高額化・入院の長期化を招くなど問題となっています。

慢性創傷には、慢性疾患、糖尿病や血流障害による潰瘍、褥瘡(床ずれ)、栄養障害、そして感染・圧迫・浮腫といった局所因子が関与しているとされます。

これら慢性損傷を治療していくためには、原因を正確に突き止めた上で全体的なアプローチが必要です。

創傷バイオフィルム

慢性創傷の治癒を阻害する要因の一つとして、創傷に発生するバイオフィルムの存在が上げられます。

バイオフィルムは、

  1. 細菌が形成するコミュニティーの場である(細菌のほか、糖タンパク、タンパク質、菌体外DNAなどで構成される)
  2. 多くの細菌が集積することで病原性を発現する
  3. 創傷治癒過程で慢性炎症を引き起こす
  4. 抗菌薬や宿主免疫の作用を回避する性質をもつ

といった特徴を持つとされており、非常に高い確率で慢性創傷上に発生します。

創傷上にバイオフィルムが存在している=治癒が阻害された状態であるとみなし、速やかにバイオフィルムを低減・除去することが創傷管理面において重要です。
しかし、一般に創傷上のバイオフィルムは創傷の見た目だけでその有無・分布状況は判断できません。即ち、バイオフィルムが存在していないように見える創傷でも実際にはバイオフィルムが存在している、ということがあり得ます。

バイオフィルムがあるかどうか、あるのであればどこに分布しているのかを見極めることが、より適切な創傷管理を実行する方法と言えます。

バイオフィルムの可視化

「創傷上のバイオフィルムを可視化することで、より適切な創傷管理を実行する」、このコンセプトのもと、CCステップス バイオフィルム検出ツールという製品が社会実装化されました。

また、ベッドサイドで短時間かつ簡便に、特殊な技術を要せず使用できるという特徴により、”キズの専門家”不在の場面でもバイオフィルムを可視化できるという利点があります。

この製品が、「バイオフィルムをベースとした創傷管理(biofilm-based wound management)」を新たなステージへと導くステップの役割を果たすと捉えています。

「創傷治癒」へのアプローチ

慢性創傷を治癒へと向かわせるアプローチは多種多様でありますが、創傷バイオフィルムが存在している慢性創傷へのアプローチは「洗浄」「感染・壊死組織の除去(デブリードマン)」「適切な抗菌薬の使用」「湿潤バランスを取るための被覆」といった手段が一般的です。
これらの各手段に”バイオフィルムの可視化”というアプローチを組み合わせることによって

  1. バイオフィルム検出
  2. その結果に基づく創傷管理の実行

という管理サイクルを構築することが、創傷治癒の促進に効果的であると推定されます。
また、創傷の周辺皮膚を清浄化した上で保湿・保護することや、栄養状態の改善により、バイオフィルムの再形成が妨げられ創傷の治癒に一定の効果があると考えられています。

このように、「バイオフィルムをベースとした創傷管理」においては、医療技術面のみならず製品面での進化がより効果的な実践の一助になると捉えられています。